限定承認とは!?メリット・デメリットまとめ!遺品整理前にチェック
限定承認ってどういった制度なのでしょうか?
「遺品整理をしたいけど、プラス資産とマイナス資産の割合がわからない・・・・」
「もし、後になってから多額の借金が発覚してしまったら怖い」
このような方に向けて、本ページでは限定承認とは何か?メリットやデメリット、手続きの流れなどについてご紹介しています。
今から遺品整理の必要がある方は、触れずにまずはどうするのかを検討することから始めましょう。
・メリット・デメリットについて掲載
・限定承認を行うケースについて掲載
・限定承認を行う際の注意点について掲載
・限定承認の手続きの流れについて掲載
限定承認とは?
故人が亡くなった後に行う「遺品整理」。
しかしながら、人によって借金の方が多く、相続自体を放棄する方もいるでしょう。
ちなみに、相続の方法としては「単純承認」・「限定承認」・「相続放棄」の3つの方法があります。
この中であまり聞き慣れない「限定承認」について今回はご紹介していきたいと思います。
まず、この「限定承認」ですが、
相続人であるあなたが被相続人(故人)の遺産のうち、
プラス資産の範囲内でマイナス資産を相続する精度のことです。
プラスの資産以上のマイナス資産を背負わなくて良い制度
もう少し「限定承認」の制度をわかりやすく説明すると、以下のようになります。
- 1.被相続人(故人)が残した遺産の中からプラスとなる遺産として「1000万円」が出てきた
- 2.マイナスの資産として、借金が「1500万円」あることが判明した
- 結論.プラス資産1000万円の範囲内でマイナス資産を相続するだけでOK
ご理解いただけましたでしょうか?
結構難しい制度なので、分かりづらいかもしれませんが、
上記の例で言うと、結果的に借金の1000万円分はプラスの資産1000万円で相殺できると考えられています。
したがって、残りの借金500万円については支払う義務(相続)はないですよと言う事になります。
つまり、
何か相続したいものがあるけれども、借金は背負いたくない。
また、後から借金が出てきたら困る。
上記の場合に、限定承認をしておくと、
プラス資産の範囲内でマイナス資産を相続すればOKですよと言う制度になります。
限定承認の期限は3ヶ月以内
限定承認には、期限が決まっています。
期限というのは、あなたが故人の相続人だと知った時から3か月以内となります。
しかしながら、
相続人であることを知るのもタイムラグがあると思いますし、
何人も相続人がいる場合もあるでしょう。
そのような場合には、基本的には最後に相続人であると知った人の3ヶ月以内で問題ないです。
また、
限定承認をするにも、遺産の調査をしないといけないのですが、
これに時間を要した場合には、延長手続きを行うことができます。
限定承認のメリットについて
限定承認を行う事によって、得られるであろうメリットについてご紹介したいと思います。
プラス資産の範囲内でマイナス資産を相続できる
最初はプラス資産とマイナス資産を合算してもプラスになる予定だったが、
後から借金などが見つかってしまって、結果的にマイナス資産の方が大きくなるなんて事もあるでしょう。
もし、単純承認にしてしまっているとこれも全て相続人が負債も相続する事になってしまいます。
しかしながら、
もし限定承認を選択していれば、
プラス資産の範囲内の債務だけで済みます。
もし、プラス資産が1000万円だったとして、
マイナス資産(借金)が1500万円あったとします。
そうすると、プラス資産1000万円分の借金返済(相殺)だけで済みます。
残ってしまった500万円については支払い義務はありません。
自宅などを先買権で相続できる
相続放棄をしてしまうと、全ての財産を相続できなくなります。
対して、限定承認の場合には一部の財産については相続が可能となります。
例として、
マイナス資産しかないけれど、自宅不動産や自社株などだけは相続したいと思う場合もあるでしょう。
このような時には、限定承認にしておくと「先買権(さきがいけん)」という制度が使えます。
これは、
家庭裁判所が選任した鑑定人の評価にしたがって、
相続人がその評価額を支払うことができれば、相続ができるという制度になります。
どうしても特定の資産を残しておきたいと思う場合には、
こういった制度を使う事もできるのです。
限定承認のデメリットについて
メリットをご紹介していきましたが、
どのような優れた制度でも必ず悪い点が存在します。
今回は、限定承認のデメリットについてご紹介していきたいと思います。
相続人全員の申し立てが必要
限定承認は、相続人全員で家庭裁判所に申立をする必要があります。
したがって、誰か一人でも反対するような場合にはこの制度を利用できません。
また、連絡がつかないような状態である相続人が一人いるだけでも利用ができないので注意が必要です。
手続きが複雑であり時間がかかる
相続放棄と異なり、限定承認はとにかく手続きに時間がかかります。
家庭裁判所に申し立てをしたからと言ってすぐに終わるわけではなく、
そこからさらに様々な手順を踏んでやっと受理されるというわけです。
簡単にすぐに行えないという点では大きなデメリットでしょう。
また、通常は弁護士などに依頼するのが普通ですので、
費用も当然ながらかかりますので、本当に行う必要があるのかは検討が必要です。
みなし譲渡所得税がかかる可能性がある
限定承認を行うと、場合によっては「みなし譲渡所得税」がかかる可能性があります。
不動産などについては、購入時より売却時の方が価格が上がっている可能性があります。
こう言った場合には、利益額に対して税金がかかるという制度です。
したがって、場合によっては準確定申告が必要になるケースもあります。
限定承認が必要となるケースについて
限定承認ってどんな時に利用されている制度なの?
このように疑問をお持ちの方に向けて、限定承認を選択するケースをご紹介したいと思います。
プラス資産・マイナス資産の割合が不透明な場合
もし、被相続人(故人)の資産がどれぐらいあるのか分からない場合、
プラス資産とマイナス資産の割合が不透明な場合には、限定承認をしておくと良い可能性があります。
場合によっては、
遺品整理後に多額の借金が見つかってしまったなんてケースもあるでしょう。
他人の借金の連帯保証人になっている場合など理由は様々ですが、
こう言った場合であっても限定承認にしておけば安心できます。
残したい不動産や会社などがある場合
被相続人(故人)の遺産はトータルではマイナスの方が大きいけど、
どうしても実家を残しておきたい、父親の会社を自分が継ぎたいと思っているような場合には、
限定承認を選択しておく方が良いでしょう。
先買い権などを行使する事で、
こう言ったどうしても残しておきたい遺産については、相続が可能となります。
次の順番にあたる相続人に迷惑をかけたくない場合
限定承認は、相続人全員で行う必要があります。
相続放棄では、一人で行えて、行う事で次の相続人となる方にバトンが渡ります。
こうした意味で、
限定承認をしておく事で、自分たちの家族だけで被相続人(故人)の
借金を終わらせることができるのです。
次の方に迷惑をかけたくないとう場合には有効的でしょう。
限定承認を行う際の注意点について
限定承認を行いたいと思っている場合には、いくつかのポイントに注意しないといけません。
後悔しないためにも是非事前にチェックしておいてくださいね。
必ず相続人全員で行う
限定承認は、相続人全員で行わないといけません。
したがって、誰か一人でも反対しているような場合や単純承認している場合には申し立てを行えません。
ただし、
相続放棄をしている場合には、そもそも相続人ではありませんので、
残りの相続人だけで申し立てを行うように準備をすれば問題ありません。
必ず期限内に手続きを行う
限定承認は、相続人であることを知った日から3ヶ月以内に行わないといけません。
この期限を過ぎてしまうと、単純承認に自動で切り替わってしまうので注意が必要です。
もし、相続人が遠方に住んでいる場合には、連絡を取ってどうするか決めるようにしましょう。
手続き前に遺品整理をしない
限定承認の手続きが完了するまでは、遺品整理をしないようにしましょう。
もし、遺品に触れてしまったり、処分してしまったりすると無効となってしまって、
単純承認した事になりますのでご注意ください。
ただし、相続人は遺品の管理義務は残っているので、
管理だけはしておくようにしましょう。
限定承認の手続きの流れ
限定承認を行う際の手続きの流れについてご紹介したいと思います。
家庭裁判所に申し立て
限定承認をする事にしたら、まずは家庭裁判所に申し立てを行いましょう。
この時、相続人全員で申し立てをする事になります。
申し立てをするまでにも、相続財産・負債の調査をしたり、限定承認の熟慮期間の延長をしたりする必要があります。
その後、必要書類と合わせて申述書と相続財産目録の作成を行なって申し立てを行います。
限定承認の申述に必要な書類
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 申述人全員の戸籍謄本
- その他相続関係に応じた必要書類
公告・催告
限定承認の申述が受理されると、相続財産の清算手続きを始めます。
相続人が一人の場合には、限定承認者となり、複数人いる場合には、相続財産管理人が家庭裁判所から選任されます。
これらの代表者が、所定の期間内に限定承認したこと・債権の請求すべき旨の公告をしないといけません。
限定承認者は、受理審判後5日以内に公告をする義務があります。
相続財産管理人が選任された場合は10日以内に、官報で「限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨」の公告手続きを行います。
官報での公告期間は2ヶ月以上が必要となります。
この時点で既に判明している債権者に対しては、公告以外にも別途で請求申出の催告を個別にする必要があります。
弁済
官報での公告期間が満了したら、最後は弁済を行います。
債権者などへの弁済が済み、
もし相続財産が残った場合には、最終的には限定承認者がこれを取得することができるようになっています。
遺品整理と限定承認の関係性についてまとめ
本ページでは、
遺品整理をする上で必要な相続の制度のうち「限定承認」についてご紹介していきました。
最後に今回の内容をまとめてみます。
- 限定承認は、被相続人のプラス資産の範囲内でマイナス資産を相続する制度
- メリットは、プラス資産以上に借金などを背負わなくても良い
- デメリットは、手続きの難しさや費用面
- 利用する際には、よく検討する必要がある
いかがだったでしょうか?
限定承認の説明を聞くと、とても良い制度にしか思えませんが、
実際には、手続きの難しさや費用がかかったりと意外と大変です。
そのためか、限定承認を行う方はそこまで多くありません。
余程、不動産などで残しておきたいものがあり、マイナス資産が多い場合に、
利用されるケースが多いのではないでしょうか。
また、
限定承認を行う場合には、相続人全員の意思が必要となるので、
仲が悪い場合や、連絡が取れない場合にも行使ができません。
こう言ったデメリットも考えた上で、制度を利用してください。
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