ゴミ屋敷に対する法律ってあるの!?具体的な解決策について
ゴミ屋敷や汚部屋に対する法律ってあるのでしょうか?
「近所にゴミだらけの家があり、悪臭や害虫などが発生していて困っている」なんて方に向けて、
本ページでは、撤去や家主に対する罰則的な法律があるのかなど、具体的な解決策についてご紹介しています。
今、困っているという方は是非最後までご覧ください!
・ゴミ屋敷に対する直接的な法律はない
・撤去するには、法律ではなく、行政代執行などを利用する他ない
・実際に、行政によるゴミ屋敷の撤去事例はある
ゴミ屋敷に対する法律ってあるの!?
ゴミや不用品などが散乱した状態であり、
近隣住民にも迷惑になっている「ゴミ屋敷」や「汚部屋」。
「お隣さんの家がゴミ屋敷になっている」
「何度も近隣住民で説得しているが、改善が見られない」
「悪臭が漂っているし、害虫も発生している」
上記のような場合に、
頭を悩ませている住民にとって「ゴミ屋敷の家主を直接的に罰則できる法律ってないのかしら」なんて思うはず。
では、実際はどうなのでしょうか?
まず結論から言いますと、
「ゴミ屋敷に対する法律は現時点ではありません」
つまり現状は、法律によって撤去したり、家主を罰することは不可能という事になります。
したがって、
ゴミ屋敷にしたからといって、何かの罪に問われることもありませんし、
逮捕するという事もできないという事になります。
法的にはゴミでも家主の所有物である
他人から見れば、ゴミのようにしか見えないものであったとしても、
家主が「これはゴミではない」と言い張れば、それはゴミではないのです。
つまり、ゴミ屋敷にあるすべての物が家主の持ち物という事になります。
したがって、
住民たちが勝手にゴミだからと言って、処分することはできなのです。
法的には、ゴミであってもゴミ屋敷の家主の所有物ですので、勝手に撤去すれば、
逆に撤去した方々が法的に罰せられてしまいます。
まとめ
- ゴミ屋敷に対する法律はない
- ゴミ屋敷にあるもの全ては家主の所有物である。
ゴミ屋敷の撤去は法律ではなく行政の力を借りよう
ゴミ屋敷を直接的に撤去したり、家主を罰するような法律がないということをご紹介しました。
では「どうしたら解決するの?」と思う方がほとんどかと思いますが、
行政による指導や強制撤去によって、解決することが可能となっています。
では、具体的にはどのような流れで撤去まで行うのか、
行政指導と行政代執行について簡単に触れて行きます。
行政指導について
まずは、ゴミ屋敷に頭を悩ませている近隣住民が力を合わせて、
各自治体、役所などに相談しに行きます。
そうすると、すぐに役所の人間が実情の確認を行います。
この時、事前に用意しておきたいのは以下のようなことです。
・ゴミ屋敷のレベル
・家主に対して改善を求めたのか
・どんな被害が出ているのか
・どれくらいの方が迷惑をしているのか
・いつからゴミ屋敷化しているのか
上記のようなことを事前にまとめておいて、
役所の担当者に詳しいことを話すとスムーズに行くかと思います。
このように、住人からのゴミ屋敷に対するクレームに対して、
自治体が直接、ゴミ屋敷に出向いて、「指導」や「勧告」、「公表」、「命令」などを行います。
これらをまとめて「行政指導」と言います。
行政代執行について
前述した度重なる行政指導に対しても、
家主が何も改善するようなそぶりを見せない場合には、
最終的には「行政代執行」といって、強制撤去を行うことが可能となります。
何度も行なった指導や勧告を無視して、
改善する気が見られない場合には行われる行政代執行。
これは、行政が強制的に撤去をすることができる条例となっています。
ちなみに、
この撤去時にかかった費用は、居住者に対して請求されますので、
全額、家主が支払う事になります。
行政代執行は、
度重なる指導のもと、一向に改善する気配がない場合に執行される制度で、
このまま放置しておく事で、住民に対して不利益が出る場合に行うものです。
まとめ
- ゴミ屋敷の撤去には行政の力が必要
- 第1段階として行政指導により改善を促すことができる
- 最終段階として、行政代執行によって強制的にゴミ屋敷を撤去することができる
ゴミ屋敷条例を定めている自治体一覧
ゴミ屋敷に関する条例を定めている自治体は、
現在では多くなってきていますが、全ての市区町村で制定されている訳ではありません。
そのため、自分がお住いの地域ではどうなっているのかを確認しておくのも大切です。
次は、ゴミ屋敷条例を制定している市区町村の一例をご紹介したいと思います。
東京都・足立区
東京都・足立区では、
足立区生活環境の保全に関する条例(通称:ごみ屋敷対策事業)を制定しています。
こちらの条例は平成25年1月1日に施工となっています。
東京都・足立区は以下のようなことを行っています。
1 調査、指導・勧告の実施
適正に管理されていない土地や建物等の所有者を調査します。
土地や建物等が不良な状態にあり、近隣に被害を及ぼしていると認めたときは、指導・勧告を行います。2 命令・公表・代執行の実施
指導・勧告を行ったにもかかわらず、改善されない悪質なケースの場合、命令・公表をすることができます。
正当な理由なく命令に従わなかった場合には、代執行を行なうことができます。3 生活環境保全審議会の設置
区の対応方針について第三者の意見を求めるため、医師や弁護士、学識経験者、区民団体等の役員を含む『生活環境保全審議会』を設けています。4 支援の実施
ごみ屋敷状態の改善のために「ア.所有者等が改善に同意」し、「イ.改善のための費用負担が困難」であり、「ウ.審議会が必要と認める」場合には、条例において下記2種の支援策の実施を定めています。費用100万円を上限に区が直接片付け等を行なう「(1)支援」
町会・自治会等のボランティア団体が片付けに協力していただける場合に、5万円を上限に支払う「(2)協力団体への謝礼金の支出」
東京都・足立区の場合、
ゴミ屋敷の撤去にかかる費用を支援するということも行っています。
家主が改善に協力的であれば、支援金が出ることもあるので、とても良い施策をしていると思います。
ちなみに、
直近だと令和元年度には「協力団体への謝礼金の支出」が2件行われています。
お問い合わせ先
相談先 |
担当:環境部生活環境保全課ごみ屋敷対策係 電話:03-3880-5410 |
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大阪府・大阪市
大阪府・大阪市の場合、
ゴミ屋敷に対する取り組みとして平成25年12月に、
「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」を制定しています。
大阪府・大阪市の場合にも、
先ほどと同じように、「指導・勧告」、「命令」、「行政代執行」、「経済支援」を基軸においています。
また、ゴミ屋敷に対する取り組みとして以下のようなことを行っています。
「ごみ屋敷」への対応は、ただちに行政による強制権を行使するのではなく、福祉的な支援を必要とする場合には、区役所をはじめとする地域の関係機関等が連携して堆積者へ寄り添った支援を行い、「ごみ」撤去後も、再度「ごみ屋敷」に戻ることのないよう、地域等による見守り支援を継続していくことが基本となります。
お問い合わせ先
相談先 | お住まいの区の区役所担当窓口 |
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条例の内容に関すること、指導・勧告・命令・代執行に関すること |
担当:環境局事業部事業管理課 545-8550 大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目5番1号(あべのルシアス13階) 電話:06-6630-3226 |
経済的支援の制度に関すること |
担当:福祉局生活福祉部地域福祉課 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所2階) 電話:06-6208-7970 |
愛知県・名古屋市
愛知県・名古屋市では、
住居の堆積物による不良な状態の解消に関する条例を平成30年4月より施行しています。
これはゴミ屋敷に対する取り組みとなっています。
名古屋市でも、
行政による指導勧告、命令、行政代執行が可能となっています。
ゴミ屋敷が解消された後も、再発しないような取り組みをしています。
お問い合わせ先
相談先 |
担当: 名古屋市役所本庁舎4階 名古屋市環境局事業部作業課(住居の不良堆積物対策の推進担当) 電話:052-972-2288 ファックス:052-972-4133 |
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ゴミ屋敷条例によって撤去された事例について
ゴミ屋敷が実際に行政の力によって撤去された事例をご紹介したいと思います。
ここでは、京都府京都市と神奈川県横須賀市の例についてご紹介します。
京都府京都市の例
京都府京都市では、
ゴミ屋敷に対する取り組みとして、
「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」を制定しています。
あるゴミ屋敷が近隣住民の迷惑となっており、
住民からのクレームがあり、2009年頃から指導や勧告などを進めていました。
しかしながら、約60ほどの面談を行ったにもかかわらず、改善が見られないことから2015年に行政代執行に踏み切っています。
近隣住民としては、
「やっと撤去されたのか」という気持ちだったと思いますが、
最初のクレームから数年が経っていることからも、行政もすぐに対応することができない現状が分かります。
神奈川県横須賀市の例
神奈川県横須賀市では、
ゴミ屋敷に対する取り組みとして、
「横須賀市不良な生活環境の解消及び発生の防止を図るための条例」を平成30年に施行しています。
横須賀市では、
この条例に則って、2018年に初めてゴミ屋敷に対する行政代執行を行っています。
この時も家主に対して、100回にも及ぶ指導や勧告、氏名の公表などをしています。
実際にゴミ屋敷の家主が自ら改善に協力することは多くなく、
結果的に、行政代執行によって撤去となるケースも増えてきてます。
行政・法律以外のゴミ屋敷撤去の方法について
ここまでご覧になって頂いた撤去は、行政の力によるものでした。
次は、法律も行政も使えないというシーンでできるゴミ屋敷への対処方法をご紹介したいと思います。
ここでご紹介しているのは必ずしも効果的なわけではないですが「やらないよりマシ」という事でご紹介しております。
住居の管理人にクレームする
最近増えてきているマンションやアパートによるゴミ屋敷。
もし、あなたがこのような集合住宅に住んでいる場合には、
管理人に相談してみることがオススメです。
管理人に事情を説明して、家主に対して苦情を入れましょう。
根本的な解決には繋がらないかもしれませんが、
近隣住民が迷惑をしているとアピールすることはできるでしょう。
建物の管理会社に相談する
次は、マンションやアパートなどを管理している会社に連絡することです。
ゴミ屋敷の現状、被害の内容などを詳しく話しましょう。
相談した後、管理会社から家主に対してクレームがあったことが伝えられるでしょう。
それでも改善されない場合には、
もう一度管理会社に相談するようにしましょう。
何度も相談することで、管理会社側も実際に出向いて確認すると思いますので、
そこで実情が把握してもらえば、改善する流れになる可能性もあります。
ゴミ屋敷に対する法律はあるのか?まとめ
本ページでは、
ゴミ屋敷を直接罰することができる法律があるのか?という視点から解説させていただきました。
最後に今回のまとめを見て行きましょう。
まとめ
- ゴミ屋敷に対する直接的な法律はない
- 法律はないが、ゴミ屋敷の撤去には行政が手を貸してくれる場合もある
- 自治体が制定するゴミ屋敷条例によって、強制撤去が可能
- 実際にゴミ屋敷条例によって、撤去された事例がある
いかがでしたか?
今、近隣のゴミ屋敷に悩まれているという方は、一度お住まいの役所や自治体に相談してみてはいかがでしょうか?
また、今あなたのお家がゴミ屋敷の場合にはすぐに改善させるべきです。
害虫や害獣、悪臭など、
近隣住民に被害が出ているような状態では、いずれかは強制撤去させられる可能性もあります。
また、ひどい場合には火事の原因となることもあります。
現状、ゴミ屋敷にお住まいであるという方は、早急に改善するようにしてください。
埼玉県をメインに特殊清掃を行なっているリンピアでは、
ゴミ屋敷や孤独死の現場の原状回復、また普通の清掃まで行なっています。
遺品整理や不用品回収まで合わせて行う事ができますので、
何かお悩みがあれば、気軽にご相談ください!
もちろん、ご相談や見積もりなどは無料で行なっています!