遺品整理で出た象牙の処分や売買に関する注意点について
遺品整理(生前整理)で個人の遺品から出てきた「象牙」の処分方法ってなんなのでしょうか?
譲ったり売買したりする際に何か規制などはあるのでしょうか?個人間なら何も気にせずOKなのでしょうか?
本ページでは、そんな遺品整理から出てきて相続した「象牙」の売買に関する注意点などについてご紹介しています。
もし、今同じような状況にあるような方は最後までチェックして違法にならないようにしましょう。
・遺品整理で出てきた「象牙」は相続可能
・相続後の「象牙」の取り扱いには注意が必要
・「象牙」を売買する際には、注意点がいくつかある。
そもそも「象牙」って何?
「象牙」とは、
アフリカゾウ、マルミミゾウ、アジアゾウなどの上顎から生えている歯のことで、
哺乳類の歯や牙と同じでカルシウムを主成分としていますが、一生伸び続けると言う特性を持っています。
ツルッとした触感や美しい乳白色、硬さなどから古くから芸術品や工芸品に使用されてきたものです。
ワシントン条約について
象に関しては、
生きている個体はもちろん、標本や皮や象牙と言った体の一部について、
ワシントン条約によって国際取引が規制されています。
日本については、
ワシントン条約に基づく象牙の輸出入の規制を外為法によって定めており、
国内に輸入されてきた象牙の取引に関しては、「種の保存法」によって規制が定められています。
象牙の取引に関する「種の保存法」について
象牙の取り扱いについては、
「種の保存法」によって明確に定められています。
ここでは簡単にどう言った内容の規制が定められているのかご紹介していきたいと思います。
象牙の売買や譲渡は条件を満たした時のみ可能
「種の保存法」では、
象牙の譲渡し等(売買等)が原作禁止と定められています。
そもそも、象牙の国際取引についてはワシントン条約によって1990年に原則禁止となっています。
日本では、
これに基づき、1992年に「種の保存法」を制定しています。
この「種の保存法」では、
新たに生牙(原木)・磨牙・彫牙など、全形を保持した象牙を売買(譲渡)することは原則禁止とされています。
しかしながら、「登録」した上での売買(譲渡)は可能であると定められています。
ちなみに、印鑑やアクセサリーなどについては登録の必要はないとされています。
この法律では、
国内にある象牙の在庫を把握するという意味合いも込められています。
象牙を違法に売買(譲渡)した場合の罰則について
個人 | 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方 |
---|---|
法人 | 1億円以下の罰金 |
象牙を所持しているにも関わらず、登録をせずに売買したり、
知り合いに譲渡することは違法になります。
場合によっては、上記のような罰則が設けられますので注意が必要となります。
象牙の相続は違法なの?
象牙には様々な規制がかけられており、
取引や取り扱いには注意が必要となります。
では、遺品整理中に個人が遺した遺品の中に象牙があった場合はどうなのでしょうか?
まず、結論から申しますと相続自体は違法ではありません。
後の相続人が相続したからと言って罰則を科せられることはありません。
しかしながら、
その後、売買や譲渡を考えている場合には、登録が必ず必要となりますので注意が必要です。
この際、生牙(原木)・磨牙・彫牙など、全形を保持した象牙であるかどうかが見極めポイントです。
印鑑やアクセサリーなどの加工品は登録の必要がありません。
象牙の登録方法や譲り受け時の手続きについて
象牙を登録する際の手順や譲り受け時の手続きの方法などについてご紹介していきたいと思います。
象牙の登録方法について
- 1,一般財団法人自然環境研究センターにに問い合わせる
- 2,申請に必要な書類の準備と送付
- 3,登録手数料の支払い
- 4,登録票の交付
ざっと説明すると上記のような流れで登録が進みます。
ちなみに、登録時に必要な書類は以下の通りです。
・必要事項を記入した登録申請書
・象牙の画像
・自己申告書
・身分証明書のコピー
・第三者の証言
・第三者の証言を裏付ける補強資料
上記のような必要種類が必要となるわけですが、
ここ最近に至って、「第三者の証言を裏付ける補強資料」が追加されたことで、
取得難易度が上がっています。
虚偽の申請をさせないため、適切な象牙の取り扱いのために、
このような書類が必要となっています。
象牙の譲り受けの届出の流れ
- 1,一般社団法人自然環境研究センターのWEBサイトにて登録に進む
- 2,ウェブ届出の項目で必要事項を記入して送信
基本的には、ネット上からの申請が可能となっています。
もちろん郵送での申請も可能です。
もし、申告に際して何かあれば後日担当者の方から連絡が来るかと思います。
譲渡に関しては、登録をするよりも比較的簡単な流れになっています。
遺品整理で出た象牙の売買に関する注意点について
もし遺品整理で象牙が出てきた際、どのように処分するか迷うことでしょう。
そして、結果的に多くの方が売るという判断をするので、
あなたがもしそのような処分を考えている場合には注意が必要です。
ここでは売買に関する注意点をご紹介していきたいと思います。
象牙が本物かどうかの判断を事前にする必要がある
まず、「象牙」であることが前提です。
その上で、登録対象の物なのか否か。
さらに、対象であれば登録が必要となります。
しかしながら、
その上で、所持している「象牙」が本物なのかどうかの判断が必要なのです。
というのも「象牙風」である場合もあり、必ずしも本物であるとも限らないためです。
登録対象となるのは、
あくまで全形を保持した象牙であり、
加工品やアクセサリーなどはこの対象とはなりません。
既に所持している「象牙」が本物であることがわかっている場合は問題ないですが、
どちらかわからない場合には、
まずは本物であるかどうかの鑑定が必要となります。
しかしながら、
「象牙」を勝手に持ち運んでしまうだけでも法に触れてしまう恐れがあり、
容易に家から持ち出すことはできません。
可能であれば、
自宅まで鑑定に来てくれる業者を見つけて、本物かどうかの判断を仰ぐのが最もオススメです。
その際、買取相場なども聞いておくと参考になると思います。
登録に必要な書類にかかる費用を把握しておく
「象牙」の売買に必要な登録証の取得には費用がかかります。
まず、登録証にかかる手数料が3,200円(税込)となっています。
もちろんこれだけなら大した金額ではないと思います。
しかしながら、
これに加えて、必要な書類を用意しないといけません。
その中に、「第三者の証言を裏付ける補強(全形牙の放射性炭素年代測定法による年代測定結果等の客観的に証明できる書類)」が必要となります。
例えば、
通関書類といった公的機関の発行した書類または購入時の領収書などが
この「第三者の証言を裏付ける補強書類」に該当します。
しかしながら、
相続した「象牙」であったりすると、こう言ったものが出てくることはほぼありません。
というか残っている方の方が少ないと言えるでしょう。
ではどうやってこの書類を用意するのでしょうか?
その方法として、全形牙の放射性炭素年代測定法による年代測定結果を要します。
つまり象牙がいつの年代のものなのかを客観的に表す結果が必要なのです。
その年代測定に必要な費用というのが
80,000円と高額なのです。
しかしながら、登録を取得するためには必要な費用なのです。
売買をしようと思っている場合、譲渡をしようと思っている場合であっても、
象牙の登録証が必要となりますので、本物であるならば必ず必要となります。
ここで売買を考えている方に向けて。
売買時の買取金額が仮に8万円以下だったとしたらこれだけでも赤字となります。
この場合、所持しているだけの方が金銭的にはマイナスにならないでしょう。
ただし、
どうしても家に保管しておく方法やスペースがない方もいらっしゃると思います。
そのような場合には、処分費用として考えていただくしかないのです。
粗大ゴミなども処分時には費用がかかります。
家電もそうですね。
そういった類と同じだと考えれば納得していただけるのではないでしょうか?
遺品整理で出た象牙の処分や売買に関する注意点まとめ
本ページでは、
遺品整理で出てきた「象牙」の取り扱いなどについてご紹介していきました。
最後に今回の内容をまとめてみたいと思います。
- 遺品整理で出てきた象牙は相続できる。
- 象牙は登録が必要で、登録なしでは移動させたり売買・譲渡ができない。
- 登録には手数料や必要書類が必須。
- 象牙を売買する際には、登録証が必要であり、買取業者も登録が必要。
いかがだったでしょうか?
「象牙」は段々とその流通数が少なくなってきてはいますが、
まだまだ日本内でも存在しているものです。
国際取引が禁止となっているだけでなく、
日本国内でも規制がかかっているため、容易に移動や売買・譲渡ができない代物です。
人によっては趣を感じたり、魅力に感じたりするものですが、
人によっては、家にあっても邪魔に感じることもあるでしょう。
そんな時に象牙をどんな形で処分するのかを検討すると思います。
この際には、売買を選ばられることが多いとは思いますが、
本物であって登録が必要な代物の場合には、必ず登録をするようにしてくださいね。
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